ちょっと差がつく百人一首講座/京都のおかき・あられ・おせんべい・和菓子処小倉山荘

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【2003年1月5日配信】[No.094]
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 【今回の歌】

  花さそふ 嵐の庭の 雪ならで
   ふりゆくものは 我が身なりけり

        入道前太政大臣(96番) 『新勅撰集』雑・1054

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  あけましておめでとうございます。
  本年も弊庵「小倉山荘」のお菓子ならびに当メルマガをご愛顧
 賜りますよう、お願い申し上げます。
 
  正月といえば初詣。みなさんもおそらく近所の寺社に参られた
 ことでしょう。初詣は、いちおう3が日中に寺社へ参拝し、一年
 の幸せと健康を祈るとよいとされています。
  現在ではむしろ宗教行事というより、行ったついでに遊んだり
 買い物をするといったレジャー的なものになっていますね。
  それでも一年の計は元旦にあり、と言いますので、しっかり拝
 んでおきましょう。
  初詣の参拝客数ベスト10の寺社を紹介しておきましょう。
 (1)明治神宮(東京)   (6)鶴岡八幡宮(神奈川)
 (2)成田山新勝寺(千葉) (7)大宰府天満宮(福岡)
 (3)川崎大師(神奈川)  (8)大宮氷川神社(埼玉)
 (4)伏見稲荷大社(京都) (9)浅草寺(東京)
 (5)住吉大社(大阪)   (10)熱田神宮(愛知)
  さて、新年最初の一首は、桜散る庭で自らの老いを感じるとい
 う美しくも味わい深い一首です。
  
■□■ 現代語訳 ■□■
  
  桜の花を誘って吹き散らす嵐の日の庭は、桜の花びらがまるで
 雪のように降っているが、実は老いさらばえて古(ふ)りゆくの
 は、私自身なのだなあ。
 
■□■ ことば ■□■

 【花さそふ】
 「花」という言葉は普通「桜の花」を指します。嵐が桜を誘って
 散らす、という意味です。
 【嵐の庭の雪ならで】
 「嵐」は山から吹き下ろす激しい風のことです。
 「雪」は散る桜の花びらを雪に見立てたもの。「なら」は断定の
 助動詞で、「で」は打消の接続助詞です。全体で「嵐が吹く庭の
 雪ではなくて」という意味になります。
 【ふりゆくものは】
 「ふりゆく」は桜の花びらが「降りゆく」のと、作者自身が「古
 りゆく(老いてゆく)」のとの掛詞です。
 【我が身なりけり】
 「なり」は断定の助動詞「なり」の連用形で、「けり」は感動を
 表す助動詞です。今気がついた、と発見した気持ちを表します。

■□■ 作者 ■□■

 入道前太政大臣(にゅうどうさきのだいじょうだいじん。1171〜
 1244)
  藤原公経(きんつね)、西園寺公経(さいおんじきんつねと
 も呼ばれます。内大臣・藤原実宗(さねむね)の子供で、源頼朝
 の妹婿・一条能保(よしやす)の娘を妻にしました。定家の義弟
 です。後鳥羽院らが幕府転覆を企てた承久の乱の時、計画を知っ
 て幽閉されましたが、幕府に漏らして乱を失敗に終わらせました。
  
■□■ 鑑賞 ■□■

  桜の季節を先取りするような歌ですが、新春にふさわしい美し
 い情景の中、自らの老いをふと自覚する深さを兼ね備えています。
  門松は 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし
  と詠んだのは、一休禅師でした。華やかさの中に一抹の寂しさ
 を見つけるのは、日本人の好むところかもしれません。
             ◆◇◆
  春の山から吹き下ろす突風。突風が桜と「踊ろうか」と誘って
 花びらがひらひらと舞い落ちる。まるで雪のように「ふっている」
 けれど、実は「古りている(年老いている)」のは私の姿なのだ
 なあ、としみじみと述懐する歌です。
  桜の花が嵐で雪のように舞い散る場面が非常に美しく、それを
 老いとからませた対比が見事です。枯れた味わいは、幽玄を旨と
 する定家の好むところでしょう。花や嵐を人間に見立てる擬人法
 や、「降る」と「古る」を掛詞にするなど、さまざまな技巧も生
 きています。
             ◆◇◆
  この歌の作者、藤原公経は、後鳥羽院と順徳院親子が倒幕を企
 てた承久の乱の計画を知ったため幽閉されます。しかし幕府に情
 報を洩らして乱を失敗に終わらせ、その功績で太政大臣にまで昇
 りつめた人です。
  源実朝の暗殺などがあったり、作者の生きた時代は政治の中心
 が公家から武士へと変わる激動期でした。「私も老いたものだ」
 と詠んだこの歌には、どんな想いが秘められていたのでしょうか。
             ◆◇◆
  作者は61歳で出家し、現在の京都市北山に西園寺を建てて住み
 ました。豪奢なこの寺は、後に足利義満が譲り受けて別荘として
 います。あの有名な金閣寺です。
  金閣寺へ行くには、JR京都駅から市電に乗り金閣寺前駅で下車
 します。冬の金閣寺も、また魅力的です。

 

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