ちょっと差がつく百人一首講座/京都のおかき・あられ・おせんべい・和菓子処小倉山荘

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【2001年12月30日配信】[No.047]
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 【今回の歌】

   玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば
    忍ぶることの よわりもぞする

        式子内親王(89番) 『新古今集』恋一・1034

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  今年もついに晦日を迎えました。
  本年は本当に多数の読者の方々にご愛読いただき、誠にありが
 とうございました。
  弊庵のお菓子はもちろん当メルマガも、来年も変わらぬご愛顧
 を賜りますようよろしくお願いいたします。
 
  さて、この号が届けばすぐお正月です。お正月といえば家族一
 堂に会して百人一首のかるた取りなどはいかがでしょうか。初春
 のテレビでも、よく名人同士の大会が行われているようです。
  しかし、本来百人一首は恋の歌が多いんですよね。
  着物を着た若い女性が、目にも止まらぬ早業でかるたをぱしっ
 と取ってしまう姿を見ながら、ついそういうことを思い出してい
 ると、微笑が沸き上がってきませんか。もちろん、百人一首のク
 イーンも、普段はしとやかな女性なのは間違いないのでしょうが。
  今回は、美しい女性の忍ぶ恋の歌です。

■□■ 現代語訳 ■□■
  
  我が命よ、絶えてしまうのなら絶えてしまえ。このまま生き長
 らえていると、堪え忍ぶ心が弱ってしまうと困るから。
 
■□■ ことば ■□■

 【玉の緒】
 もともとは、首飾りなどに使われる玉を貫いた緒(を。ひものこ
 と)のことです。しかしここでは「魂を身体につないでおく緒」
 の意味で使われています。「絶え」「ながらへ」「よわり」は、
 緒の縁語で、どれも緒の状態に関係しています。
 【絶えなば絶えね】
 「絶えてしまうのなら絶えてしまえ!」という意味の語気の強い
 言葉です。下二段動詞「絶ゆ」の連用形に完了の助動詞「ぬ」の
 未然形「な」と接続助詞「ば」で、順接の仮定条件「絶えてしま
 うのなら」になります。下の「絶えね」の「ね」は完了の助動詞
 「ぬ」の命令形で、「絶えてしまえ!」という意味です。
 【ながらえば】
 「絶えなば」と同じく、下二段動詞「ながらふ」の未然形に接続
 助詞「ば」がついて、順接の確定条件を示します。「生き長らえ
 てしまうのならば」というような意味です。
 【忍ぶる】
 「堪え忍ぶ」という意味です。上二段動詞「忍ぶ」の連体形です。
 【よわりもぞする】
 係助詞「も」と「ぞ」が重なり、「〜すると困る」という意味に
 なります。「ぞ」+「する」で係り結びになります。秘めた恋を
 堪え忍ぶ気持ちが弱くなって、恋が露見すると困る、というよう
 な意味になります。

■□■ 作者 ■□■

  式子内親王(しょくし(または、しきし)ないしんのう。生年
 未詳〜1201年)
  後白河院の第三皇女で、「大炊御門斎院(おおいのみかどいつ
 き)」と称されました。賀茂斉宮(かもさいぐう)などを務めま
 したが、実兄の以仁王(もちひとおう)が源頼政(みなもとのよ
 りまさ)が当時政権を握っていた平氏に対して挙兵し失敗した事
 件に連座。1197(建久8)年頃に出家しました。新古今集時代の
 代表的な女流歌人で、藤原俊成の弟子でした。なんと、藤原定家
 と恋愛関係にあったという説もあります。
  
■□■ 鑑賞 ■□■

  このまま生きながらえていると、今まで堪え忍んできたあの人
 への恋心の堰が破れてしまい、恋心が他人に知られるかもしれま
 せん。私の魂よ、絶えるのならば今絶えてしまっておくれ。恋を
 忍ぶ意志が弱くなっても困るから。
             ◆◇◆
  百人一首を代表する抑えた恋の激情を感じさせる歌です。
 死んでもかまわないから、この忍ぶ恋を世間に知られぬようにし
 ておくれ。なんという強烈な女性でしょうか。
  この歌はもともと「忍ぶ恋」という題を与えられていたと、新
 古今集の詠題にあります。
  現代の我々から考えてみると、そうまでして恋を秘めなくても
 と思うのですが、妻ある人への恋などはこんな気持ちになるのか
 もしれませんね。
             ◆◇◆
  この歌の人気は高く、詩人の萩原朔太郎も「悲恋の歌人 式子
 内親王」の中で、「式子内親王の歌は、他の女流歌人のそれと違
 って、全くユニイクで独自の情趣をもっている。それは和泉式部
 の歌のように、外に向かって発する詠嘆ではなく、内にこめて嘆
 く歔欷(きょき=すすり泣き)であり、特殊な悩ましい情熱の魅
 力を持っている」と書いています。モダンで都会的であり、ナイ
 ーブかつ哀感にあふれた詩を数多く作った朔太郎は、どこかで式
 子内親王が自分と相通ずると思っていたのかもしれません。
             ◆◇◆
  さて、今回は晦日ですので、除夜の鐘で有名な京都の知恩院を
 ご紹介しましょう。知恩院は浄土宗の法然上人が入滅(そこで亡
 くなった)したお寺で、大小106棟の建物からなり、日本一大きな
 山門と、70トンもある日本一大きな鐘で知られています。
  知恩院の鐘は、毎年必ず年越しの番組で紹介されるほど有名で
 ですので、かなりの方がご存じでしょう。大きい故に他の鐘より
 ずっと低い、ブオーンという重厚な音で親しまれています。
  電車で行かれる場合は、京都市営地下鉄東西線東山駅から徒歩
 約10分、また京阪電鉄四条駅から徒歩で約15分の距離にあります。
  京都市バスの場合は、知恩院前バス停から徒歩約7分です。
 ただし、大晦日は非常に混雑しますのでご注意ください。
  それでは、良いお年をお迎えください。
  来年もいい年でありますように。

 

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