ちょっと差がつく百人一首講座/京都のおかき・あられ・おせんべい・和菓子処小倉山荘

『ちょっと差がつく百人一首講座』バックナンバー一覧へ

【2002年11月5日配信】[No.082] 
 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 【今回の歌】

  契(ちぎ)りおきし させもが露(つゆ)を 命にて
   あはれ今年の 秋も去(い)ぬめり

            藤原基俊(75番) 『千載集』雑・1023

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
 
  ついこの間まで夏みたいな暑さだったかと思えば、昨今は急に
 冷え込んできました。風邪をひいた方も多いのではないでしょう
 か。
  富士山はすでに美しい冠雪に覆われているようです。あなたの
 お住まいの地方の名山はどうでしょうか。通りを歩く人の服装も
 厚着になり、秋から冬へと季節の移り変わりが感じられます。
 
  ところで、大学医学部の裏口入学などが時々問題になったりし
 ます。名門幼稚園や小学校へのお受験競争なども話題になりまし
 た。息子の出世を願うのは、いつの時代の親でも同じですが、行
 き過ぎるとろくなことがありません。
  今回の歌は、詩人・大岡信が「平安朝の親ばかの歌」とした変
 わりダネの一首です。
  
■□■ 現代語訳 ■□■
  
  お約束してくださいました、よもぎ草の露のようなありがたい
 言葉を頼みにしておりましたのに、ああ、今年の秋もむなしく過
 ぎていくようです。
   
■□■ ことば ■□■

 【契(ちぎ)りおきし】
 「契りおき」は「約束しておく」意味の動詞の連用形で、「おく」
 は露の縁語です。「約束しておいた」という意味です。
 【させもが露】
 「させも草」は、平安時代の万能薬だったヨモギのこと。「露」は
 恵みの露という意味で、作者が息子のことを頼んだ藤原忠通が「ま
 かせておけ」とほのめかしたことを指します。
 【命にて】
 「たのみにして」という意味です。
 【あはれ】
 「ああ」、と感情をこめて洩らす感動詞です。
 【秋もいぬめり】
 「往ぬ」は「過ぎる」でナ変動詞の終止形です。「めり」は推量の
 助動詞で「秋も過ぎ去ってしまうことだろう」という意味です。

■□■ 作者 ■□■

  藤原基俊(ふじわらのもととし。1056〜1142)
  和歌や漢詩の才能に優れ、名家の出身でしたが、才能を鼻にかけ
 るくせがあったようで?位は従五位上・左衛門佐(さえもんのす
 け)に止まっています。源俊頼(百人一首74番)のライバルで当時
 の歌壇の重鎮でした。若い頃の藤原俊成が入門しています。
  
■□■ 鑑賞 ■□■

  この歌は、詠まれた状況を説明しないと分からないでしょう。
  作者の藤原基俊の息子は、奈良の大きなお寺・興福寺のお坊さん
 光覚(こうかく)でした。興福寺では10月10日から16日まで維摩経
 (ゆいまきょう)を教える維摩講が行われますが、この名誉ある講
 師に光覚を、と前の太政大臣・藤原忠通にたびたび頼んでいました。
             ◆◇◆
  熱心な頼みに忠通は「しめぢが原」と答えます。
  古今集にある清水観音の歌に
 なほ頼め しめぢが原の さしも草 われ世の中に あらむ限りは
 (私を一心に頼りなさい。たとえあなたがしめじが原のヨモギのよ
 うに思い悩んでいても)
  というものがあり、「大丈夫だ、私に任せておけ」との意味です
 が、その年も息子・光覚は講師に選ばれませんでした。
  だからその恨みをこめ、作者は「約束したのに、ああ、今年の秋
 も過ぎていくのか」と嘆いてみたのです。
  今も昔も、親ばかに変わりはないものですね。
             ◆◇◆
  奈良の興福寺は国宝の五重塔や八角形をした南円堂、また凛とし
 た顔立ちの阿修羅像などで知られています。近鉄・奈良駅より歩い
 て5分ほどですので、行かれてみてはいかがでしょうか。
  近くの奈良国立博物館では、毎年秋恒例の「正倉院展」が11月11
 日まで開催されています。

 

『ちょっと差がつく百人一首講座』バックナンバー一覧へ


せんべい,煎餅,おかき,あられ,おせんべい【長岡京小倉山荘】
京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】TOPへ