ちょっと差がつく百人一首講座/京都のおかき・あられ・おせんべい・和菓子処小倉山荘

『ちょっと差がつく百人一首講座』バックナンバー一覧へ

【2000年11月30日配信】[No.008]
 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 【今回の歌】

   朝ぼらけ 宇治(うぢ)の川霧(かはぎり) たえだえに
     あらはれわたる 瀬々(せぜ)の網代木(あじろぎ)

 権中納言定頼(64番) 『千載集』冬・419

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

  いよいよ冬。朝の冷え込みが厳しい毎日ですが、冴え冴えとし
 た朝にかかる霧の深さは、ある種の趣きを感じさせます。川面に
 かかる霧の印象はまた格別でしょう。今回の歌は、そんな冬の京
 都の宇治川にかかる朝霧をうたったものです。
 
■□■ 現代語訳 ■□■
  明け方、あたりが徐々に明るくなってくる頃、宇治川の川面に
 かかる朝霧も薄らいできた。その霧がきれてきたところから現れ
 てきたのが、川瀬に打ち込まれた網代木だよ。

■□■ ことば ■□■
  【朝ぼらけ】
  夜明け、あたりがほのぼのと明るくなる頃。
  【宇治の川霧】
  宇治川は京都南部を流れる川。琵琶湖の南から流れはじめる瀬
  田川の下流、京都府に入る手前から桂川・木津川と合流して淀
  川となる大山崎の辺りまでをいいます。
  【たえだえに】
  とぎれとぎれに。この場合は、川霧がきれぎれに薄れていき、
  晴れてくる様子を表しています。
  【あらはれわたる】
  あちこちに表れてくる、という意味。
  【瀬々の】
  瀬は川の浅いところの意味です。
  【網代木(あじろぎ)】
  「網代(あじろ)」は、冬に氷魚(ひお、鮎の稚魚のこと)を
  取る仕掛けです。川の浅瀬に杭を打ち、「簀(す)」という竹
  や木で編んだざるを仕掛けるもので、当時(平安時代)の宇治
  川の風物詩でした。「網代木(あじろぎ)」は網代の杭のこと
  です。
  
  
■□■ 作者 ■□■
  権中納言定頼(ごんちゅうなごんさだより。995〜1045)。
  藤原定頼。四条大納言公任(きんとう、百人一首55番に収載)
 の長男。書や管弦が上手い趣味人で、正二位権中納言にまでなっ
 た。百人一首60番の小式部内侍(こしきぶのないし)の歌は、定
 頼にからかわれた内侍が詠んでへこましたもの。
■□■ 鑑賞 ■□■
  宇治茶で有名な京都・宇治。宇治川のあたりは、この歌が詠ま
 れた平安時代には、貴族の別荘が多く建てられ、リゾート地とし
 て有名な場所でした。
  この歌に出てくる「網代」は、宇治川の冬の風物で、藤原道綱
 母の「蜻蛉(かげろう)日記」や菅原孝標女(たかすえのむすめ)
 の「更級(さらしな)日記」などにも登場します。都の貴族には
 川の浅瀬に沿って、ずらりと並ぶ網代木(杭)の情景が、美しく
 も面白いものに映ったのでしょう。
             ◆◇◆
  歌は、美しい風景を歌った典型的な「叙景歌(じょけいか)」で
 す。冬の夜明け頃、目を覚まして外を眺めてみた。すると夜闇がう
 っすらと明けてくるとともに、川霧が徐々に薄らいでいき、宇治川
 でしか見られない網代木の列が見え始めてきたあ。とても絵になる
 風景で、旅に出て変わった情景を眺めた時の楽しさが感じられます。
             ◆◇◆
  平等院などでも有名な宇治市のあたりは、京都、もしくは奈良か
 ら行くなら、JR奈良線の宇治駅、京阪電鉄のけいはんうじ駅などで
 下車します。古くからの景勝地であり、特に宇治川の川霧は、紫式
 部の「源氏物語」の「宇治十帖」(うじじゅうじょう。光源氏の息子
 の薫や匂宮を主人公にした、続編に当たるパート)で語られてから
 非常に有名になりました。だから平安後期の歌には、宇治の川霧を
 テーマにしたものが数多く見られます。

 

『ちょっと差がつく百人一首講座』バックナンバー一覧へ


せんべい,煎餅,おかき,あられ,おせんべい【長岡京小倉山荘】
京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】TOPへ