ちょっと差がつく百人一首講座/京都のおかき・あられ・おせんべい・和菓子処小倉山荘

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【2001年3月30日配信】[No.020]
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 【今回の歌】

   いにしへの 奈良の都の 八重桜
    けふ九重に にほひぬるかな

            伊勢大輔(61番) 『詞花集』春・29

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  いよいよ桜の季節の到来です。万葉の昔から、もちろん百人一
 首にも数多く歌われている日本の春の象徴。桜はまたはかなく散
 ってしまうため、出会いと別れの象徴でもありますね。
  まず今回は、華やかな桜のイメージが際立つ歌をご紹介しまし
 ょう。
 
■□■ 現代語訳 ■□■
  いにしえの昔の、奈良の都の八重桜が、今日は九重の宮中で、
 ひときわ美しく咲き誇っております。
 
■□■ ことば ■□■
 【いにしへの奈良の都】
 「いにしへ」は「古き遠い時代」の意味。この歌が詠まれた時、
 すでに奈良の都は元明天皇から光仁天皇までのほぼ70年間にわた
 って都があった古都のイメージがありました。
 【八重桜】
  桜の品種のひとつで、花弁がたくさん重なり合う大きな花をつ
 けます。この歌は当時京都では珍しかった八重桜が奈良から京都
 の宮中へ献上されるときに歌われたものです。
 【けふ】
 「今日」という意味で、「いにしへ」に照応しています。
 【九重に】
 「宮中」の意味で、昔中国で王宮を九重の門で囲ったことからこ
 う言われています。「八重桜」に照応した言葉です。
 【にほひぬるかな】
 「色美しく咲く」の意味で、「にほひ」といっても香りではなく
 見た目の美しさを表します。「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連
 体形で、「かな」は詠嘆の終助詞。

■□■ 作者 ■□■
  伊勢大輔(いせのたいふ。11世紀前半の人)
  正三位神祇伯・大中臣輔親(おおなかとみのすけちか)の娘。
 中宮定子のいとこ・高階成順(なりのぶ)と結婚し、勅撰歌人の
 康資王母(やすすけおうのはは)などを産みました。上東門院彰
 子(もと中宮)に仕え、紫式部や和泉式部とも親しい間柄でした。

■□■ 鑑賞 ■□■
  この歌の詞書には、「一条院の御時、奈良の八重桜を、人の奉
 りて侍りけるを、そのおり、御前に侍りければ、その花をたまひ
 て(題材にして)、「歌詠め」と仰せ言ありければ(読める)」
 とあります。
  作者の伊勢は、奈良から宮中に届けられた八重桜の献上品を、
 宮中で受け取る役に抜擢されました。その時、藤原道長から急に
 即興で詠めと言われ、即座に返したのがこの歌です。
 「いにしえの古都、奈良の都の八重桜が、九重の宮中で見事に咲
 き誇っていますよ」
 すなわち、「かつての奈良の栄華をしのばせる豪勢な八重桜だけ
 ど、今の帝の御世はさらにいっそう美しく咲き誇っているようだ
 よ」と花に託して、今の宮中の栄華ぶりをほめたたえる、まこと
 に見事な歌だといえるでしょう。
             ◆◇◆
  伊勢はこの時、紫式部からこの役を譲られたばかりで、宮中で
 は新参者でした。とっさに歌を振られてさぞ緊張したことだと思
 いますし、周囲も才女中の才女・紫式部の後釜が、どの程度の力
 量の持ち主か図るつもりもあったのでしょう。
  そこで、伊勢はこのスケールたっぷりのこの歌を披露し、面目
 を立てたのでした。
             ◆◇◆
  この歌の舞台は奈良ですが、奈良にお花見に行くなら、奈良公
 園と吉野山でしょう。
  奈良公園では4700本の山桜をはじめ、八重桜なども1800本見る
 ことができます。
  また6万本の桜があるという吉野山は、ふもとから下千本、中
 千本、上千本、奥千本と開花時期が順になっています。
  今年の吉野の桜は、例年より1週間ほど開花が早く、
        開花予想日    満開予想日
  ●下千本 4月4〜5日ごろ  11日ごろ
  ●中千本   7〜8日ごろ  14日ごろ
  ●上千本   10〜11日ごろ  17日ごろ
  ●奥千本   17〜18日ごろ  24日ごろ
  だそうです。交通はJR奈良線吉野口から近鉄に乗り換え吉野駅
 下車。一度、本格的なお花見にひたってみるのもいかがでしょう
 か。

 

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