ちょっと差がつく百人一首講座/京都のおかき・あられ・おせんべい・和菓子処小倉山荘

『ちょっと差がつく百人一首講座』バックナンバー一覧へ

【2000年10月15日配信】[No.003]
 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 【今回の歌】

   山川(やまがわ)に 風のかけたる しがらみは
     流れもあへ(え)ぬ 紅葉なりけり

 春道列樹(32番) 『古今集』秋下・303

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

  今回も、前回に引き続き紅葉の秋を詠んだ歌をご紹介します。
 この歌の舞台は、京都と大津の途中にある山道です。

■□■ 現代語訳 ■□■
  山の中の川に、風が掛けた流れ止めの柵(しがらみ)がある。
 それは、流れきれないでいる紅葉の集まりだったよ。

■□■ ことば ■□■
  【山川(やまがわ)】
山の中にある川、谷川のこと。「やまがわ」という読みが重要
 で、「やまかわ」と読むと「山と川」という意味になります。
【しがらみ】
「柵」と書いて「しがらみ」と読みます。川の流れを堰き止め
 るために、川の中に杭を打って竹を横に張ったものです。ここで
 は「風がしがらみを掛けた」とあるので、風を人のように扱う擬
 人法を使っています。
  【流れもあへぬ】
  流れようとしても流れきれない、という意味。「あへぬ」は、
 「あふ」の打消し形で「〜しきれない」の意味です。
  【紅葉なりけり】
「紅葉なりけり」の「けり」は、今気づいた、という感動を示
 す。またこの歌は、紅葉を柵(しがらみ)に「見立て」ています。
■□■ 作者 ■□■
  春道列樹(はるみちのつらき。生年不祥〜920年)。
  主税頭(ちからのかみ)新名宿禰(にいなのすくね)の子。文
  章生(大学寮で文章を学ぶ学生。今でいうと大学院の研究者程
  度か)、壱岐守着任前に没)。
■□■ 鑑賞 ■□■
  風が吹いて、美しい山中の川にところどころ紅葉がかたまって
 いるところがある。まるで風が作った堰止め用の柵(しがらみ)
 のようだなあ。
  川に広がる紅葉の鮮明な色が目に浮かんでくるような、非常に
 美しい、ビジュアルな歌です。しかも、「風のかけたるしがらみ
 は」と、風を人になぞらえる擬人法を使った歌でもあります。
  擬人法は、当時最新のテクニックとしてもてはやされました。
  博学な文章生として、文学の研究を続けた春道らしい華麗な歌
 といえるでしょう。
             ◆◇◆
 「古今集」には、詞書として「志賀の山越えにて詠める」とあり
 ます。
 「志賀」というのは、今の滋賀県。京都東山の銀閣寺の北から、
 瓜生山を北に見て、比叡山と如意ヶ嶽を抜け、近江国の大津(今
 の大津市)へ達する山道があり、その道を「志賀越道」と言いま
 した。志賀寺(崇福寺=すうふくじ)へお参りする参道です。
  春道は、その山中で美しい紅葉のしがらみを見つけたのでしょ
 う。定家もこの歌を気に入っていたらしく、本歌取りして「木の
 葉もて 風のかけたるしがらみに さてもよどまぬ 秋の暮れか
 な」という歌を残しています。
             ◆◇◆
  現在は、崇福寺跡はその大礎石を見るに止めています。春道の
 通ったコースをたどるには、白川の流れをさかのぼり、京都と滋
 賀の県境の尾根を越えて、志賀峠に到達します。そこから東へ向
 かえば琵琶湖、北に進路をとれば延暦寺のある比叡山へ続く、比
 叡山ドライブウェイが通っています。
  歩くと相当な距離になりますので、現在では車でたどるのが、
 もっとも良いでしょう。美しい紅葉のこの時期、百人一首の旅と
 しゃれながら、奥比叡まで足を伸ばすのもいいかもしれません。

 

『ちょっと差がつく百人一首講座』バックナンバー一覧へ


せんべい,煎餅,おかき,あられ,おせんべい【長岡京小倉山荘】
京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】TOPへ