ちょっと差がつく百人一首講座/京都のおかき・あられ・おせんべい・和菓子処小倉山荘

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【2000年12月20日配信】[No.010]
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 【今回の歌】

   朝ぼらけ 有明の月と みるまでに
     吉野の里に ふれる白雪

     坂上是則(31番) 『古今集』冬・332

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  12月も半ばを過ぎると、そろそろあちこちから雪のたよりが聞
 こえてきます。雪の朝というのは、硬い冷気の中に深閑とした静
 があって、気持ちの良いものです。そんな朝の風景を歌った歌を
 紹介しましょう。
 
■□■ 現代語訳 ■□■
  明け方、空がほのかに明るくなってきた頃、有明の月かと思う
 ほど明るく、吉野の里に白々と雪が降っていることだよ。

■□■ ことば ■□■
  【朝ぼらけ】
  夜が明けてきて、ほのかにあたりが明るくなってくる頃。
  【有明の月】
  夜明けの空に残って、明るく光っている月。
  【みるまでに】
  この「みる」は、「見る」ではなく、「思う」とか「判断する」
 という意味。「まで」は極端な程度を表す副助詞で、「思うばかり
 に」というほどの意味になります。
  【吉野の里】
  吉野は、大和国(現在の奈良県吉野郡)吉野のあたり一帯。平安
 時代には、春は桜、冬は雪の名所として知られる山里でした。
  【ふれる白雪】
  「る」は、継続を示す助動詞「り」の連体形で、雪が降り続いて
 いるという意味です。「体言止め」が使われています。
  
■□■ 作者 ■□■
  坂上是則(さかのうえのこれのり。?〜930)。
  征夷大将軍・坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)の子孫、
 坂上好蔭(よしかげ)の子という説があります。大和権少掾(やま
 とのごんのしょうじょう)などを経て、従五位下・加賀介(かがの
 すけ)に出世しました。三十六歌仙の一人です。
■□■ 鑑賞 ■□■
  坂上是則は、世に名高い三十六歌仙の一人です。三十六歌仙とは
 11世紀に藤原公任が選んだと言われる和歌の名手36人のこと。是則
 の他に、小野小町や在原業平、紀貫之などが名を連ねています。
              ◆◇◆
  そんな是則が、大和権少掾に任ぜられて大和に赴いた延喜六年(
 908年)の冬のこと。吉野の山の近くにある宿に泊まった夜明けに
 ふと目を覚ますと、表がとても明るいようです。
  「夜明け方(有明)の月だろうか?」底冷えのする寒さの中、外
 を見てみると、雪が降っていました。
  吉野の名所に降る雪明かり。月の白い光を雪や霜に見立てるのは
 中国の漢詩でよく行われていた比喩です。中国の大詩人・李白の作
 った「静夜思」にも「牀前看月光、疑是地上霜」の一節があります。
              ◆◇◆
  奈良県吉野郡の吉野周辺は、吉野熊野国立公園に指定されている
 ように、自然の美しい土地で、万葉の昔からたくさんの歌に詠まれ
 てきました。雪をかぶった山々の美しさもさることながら、春には
 花園山、船岡山、温泉谷のあたりが桜の名所として有名です。
  レジャーに訪れる場合には、近鉄吉野線の終着駅で下車します。

 

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