ちょっと差がつく百人一首講座/京都のおかき・あられ・おせんべい・和菓子処小倉山荘

『ちょっと差がつく百人一首講座』バックナンバー一覧へ

【2001年1月30日配信[No.014]
 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 【今回の歌】

   難波(なには)潟 みじかき芦の ふしの間も
     逢はでこの世を 過ぐしてよとや

           伊勢(19番) 『新古今集』恋一・1049

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

  今では女の人がずいぶん強くなった、なんて言われますが、や
 はり男と女の恋心はいつの時代も変わらないもの。平安時代は、
 女の家へ男が訪れる形式で恋愛が行われていましたので、逢えな
 いつらさはひとしおだったでしょう。厳寒の今日この頃のような
 つらい恋慕の情を歌った歌を紹介しましょう。
 
■□■ 現代語訳 ■□■
  難波潟の芦の、節と節との短さのように、ほんの短い間も逢わ
 ずに、一生を過ごしてしまえと、あなたは言うのでしょうか。
 
■□■ ことば ■□■
 【難波潟】
  今の大阪湾の入り江の部分のこと。昔は干潟が広がり、芦がた
 くさん生えていて、名所のひとつになっていました。「潟」は潮
 が引いた時に干潟になる遠浅の海のことです。
 【みじかき芦の】
 「芦」は水辺に生えるイネ科の植物。高さ2〜4mになります。
 「難波潟 みじかき芦の」までが、この歌の序詞。
 【ふしの間も】
 掛詞で、芦の「節(ふし)」の短さと、逢う時のほんのわずかな
 時間、という意味を掛けています。
 【逢はでこの世を】
 「世」は人生や男女の仲などさまざまな意味を持ちます。ここで
 は男女から人生の意味まで複数の意味をかけます。また「世」は
 「節(よ)」と音が重なり、「節(ふし)」とともに芦の縁語。
 【過ぐしてよとや】
 一生を過ごしてしまえと、あなたは言うのでしょうか、という意
 味。「てよ」は完了の助動詞「つ」の命令形です。
  
■□■ 作者 ■□■
  伊勢(いせ。877〜938?)
  紀貫之と並び称されることもあった、古今集時代の代表的歌人。
 伊勢守藤原継蔭(つぐかげ)の娘。宇多天皇の中宮温子(おんし)
 に仕えましたが、温子の兄の仲平との恋に破局。その後宇多天皇の
 皇子を生み、伊勢御息所(みやすどころ)となりました。その後、
 さらに宇多天皇の皇子・敦慶親王とも結ばれ、女流歌人の中務(な
 かつかさ)を生んでいます。

■□■ 鑑賞 ■□■
  この歌の作者、伊勢は、平安時代の代表的歌人で、作者紹介にも
 あるように、宇多天皇の中宮温子の兄の仲平、宇多天皇、さらに宇
 多天皇の皇子・敦慶親王と結ばれるなど、恋多き女性として名をは
 せた閨秀歌人です。
  多感なゆえ、数奇な人生を送りましたが、その奔放ともいえる恋
 は、現代女性にも共感できるところではないでしょうか。
             ◆◇◆
  こんなにも恋したっているのに、ほんのわずかばかりの時間も逢
 ってくれないあなた。このまま人生を逢えないまま、過ごしてしま
 えとおっしゃるのでしょうか?
 この歌は、逢いに来てくれず結ばれない男への思慕を、難波潟の芦
 の節の短さにたとえた、鋭い感性が感じられる歌で、伊勢の激情を
 感じさせてくれます。
             ◆◇◆
  難波潟は、大阪湾の入り江のあたりの遠浅の海を指します。現在
 の大阪湾は人工埠頭の建設などが進み、かつての干潟の味わいを残
 す風景にはなかなか出会えないのが実状です。
  ただし、大阪市・淀川の下流、長江橋のあたりには、かろうじて
 昔の難波潟の風情が見られるかもしれません。
  現在の大阪湾には、海遊館などをはじめ、多くのレジャースポッ
 トやビジネスセンターが建ち並んでいます。難波潟の歌を味わいな
 がらも、お子さん連れでレジャー施設に遊びに行かれるのはいかが
 でしょうか。

 

『ちょっと差がつく百人一首講座』バックナンバー一覧へ


せんべい,煎餅,おかき,あられ,おせんべい【長岡京小倉山荘】
京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】TOPへ