京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】今昔物語集 宇治拾遺物語 古今著聞集 古本説話集 〜平安の物語〜

京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】『平安の物語』バックナンバー一覧へ

 【平安の物語】世にも不思議な暦の話。

  むかしある高貴な人に仕えることになった
  新参の女房(貴族に仕える女性)が世のしきたりを知るため、
  同じ家に仕える若い僧侶に仮名暦を書いてくれるよう依頼しました。
  仮名暦とは、今で言う「大安」や「仏滅」を記した暦です。

  ◇僧侶「いともたやすきこと。すぐにお書きいたしましょう」

  僧侶はすぐさま仮名暦を書きあげ、女房に渡しました。
  「吉日なり」「凶日なり」「神仏に祈ってよし」……。
  麗しい文字で綴られた日めくりを、女房は忠実に守って暮らし始めました。

  そんなある日の朝、女房は暦をめくってふと首をかしげました。
  「物食うべからず」と書かれているのです。
  そのように厳しい修行の日もあるのだなと思いつつ、
  その日女房は食べ物を一切口にすることなく一日を過ごしました。

  翌朝、女房はまたしても怪訝な面持ちになりました。
  暦には「よく食う日」と書かれています。
  昨日の空腹の反動で、言われなくても大食するつもりだった女房は、
  不思議な暦だなぁ、と思いながらも従うしかありませんでした。

  さらにその翌日、女房は今度はぼう然と口をひらきました。
  「厠(かわや)へ行っても大きいほうをすべからざる日」
  女房は前日の大食のためお腹が張って仕方がありません。
  しかし、定めを破っては天罰が当たるからと、一日こらえて過ごしました。

  その日から、女房の悪夢はつづきました。
  日めくりをめくると、連日同じことが書かれているのです。

  「厠へ行っても大きいほうをすべからざる日」
  「厠へ行っても大きいほうをすべからざる日」
  「厠へ行っても大きいほうをすべからざる日」

  どうにかはじめの3日間は我慢することができたものの、
  さすがにそれ以上堪えられるはずもありません。
  4日目、あわれ女房は失神してついに倒れてしまいました。

  これが新参者への歓迎のいたずらだったと知ったのは、目覚めたあとでした。
  苦痛の数日間を思い返すと、頭に来るやら恥ずかしいやら──。
  しかし、新しい職場での緊張が一気にほぐれたのはたしかでした。

  女房はやがて不適な笑みを浮かべました。
  きっと仕返しの方法を思案しはじめたのでしょう。

                                  脚色  江幡店長  出典『宇治拾遺物語』

 

京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】『平安の物語』バックナンバー一覧へ


せんべい,煎餅,おかき,あられ,おせんべい【長岡京小倉山荘】
京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】TOPへ