京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】今昔物語集 宇治拾遺物語 古今著聞集 古本説話集 〜平安の物語〜

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 【平安の物語】鬼退治の名武将、狐を射ただけで喝采を浴びる話。

  酒呑童子を倒し、土蜘蛛を退治したことで知られる伝説の武将・源頼光。
  「ヨリミツ」というより「ライコウ」という呼び名がよく似合うこの男は、
  その武勇と才覚で源氏の勢力をおおきく拡大しながら、
  決して奢ることのない正真正銘のもののふでした。

  平安時代中期、三条天皇がまだ東宮(とうぐう=皇太子)だったころ、
  東宮の屋敷に忍び込んではいつも悪さをする狐が一匹、
  広大な庭のすみのほうで気持ちよさそうに眠っていました。

  東宮はこれを遠目に見つけると、そばに控えていた源頼光を呼び寄せて、
  矢のとどかぬ距離と知りながら無理難題を言いつけました。
  まだ幼い東宮は、いたずら狐が憎いというよりも、
  すでに老年となり、伝説にもなっていた頼光の武芸を見たかったのでしょう。

  ◇東宮「頼光よ、あの狐めを射てみよ」

  ◆頼光「む……、無理でございます。
          若い頃でもこれほどの距離の獲物を射ることなどは……。
          それに東宮様に命ぜられて射外せば、老いの恥となります……」

  ◇東宮「かまわぬ。頼光に射てほしいのじゃ」

  東宮がなんども言うのを断りかね、頼光はしぶしぶ弓を手に取りました。
  たとえ命中しなくても、狐がいる場所まで矢が届かないよりはマシだろうと、
  戦さのときのように低くねらいを定め、じゅうぶんに引きしぼりました。
  白髪の武将の目が、一瞬キラリと鋭く閃きました。次の刹那──。

  ちゃぽん。

  遠くで音がしました。なんと頼光の放った矢は見事獲物を射当て、
  驚いた狐は一度立ち上がったものの、真っ逆さまに池に落ちたのでした。
  東宮をはじめ、いあわせた殿上人たちみな感激し、口々に武勇を讃えました。
  さらにこのことは噂となって、またたくまに都じゅうを駆けめぐりました。

  ○庶民「あの頼光さんが、とてつもなく遠い獲物を弓で射当てたらしい。
          なのに『わしが射たわけではない』と首を振っているそうな」

  ●庶民「あの方はまあ、本当に偉いお人じゃないか。
          『ご先祖様が老いぼれに恥をかかせては哀れだと思し召して
            狐を射させてくださったのじゃ。決してわしが射たのではない』
          などと、なかなか言えることではなかろうよ」

  大江山の鬼を退治したことよりも、土蜘蛛を退治したことよりも。
  常人ではとうてい不可能な遠方の獲物をしとめたことよりも。
  当時の都の住人は、頼光のその人がらに喝采を贈ったのでした。

                                    脚色  江幡店長  出典『今昔物語集』

 

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