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 【平安の物語】どこからか石が飛んでくる!右大臣邸「飛礫の怪」

  むかし右大臣・藤原実親(さねちか)の屋敷に、
  どこからともなく飛礫(つぶて)が投げつけられる事件が度々あり、
  誰のしわざとも知れませんでした。

  家中の者みな怖ろしく思って過ごしていましたが、なお不思議なことには、
  つぶての数は日に日に多くなり室内へも雨のように飛んで来る音がするのに、
  確かめてみると小石など無く、人に当たることもありませんでした。

  あるじの実親をはじめ、家人一同集ってこの件を話し合いましたが、
  原因がまったくわからないため対処のしようがありません。
  困り果てていると、頬の赤い田舎侍がおもむろに進み出て言うには──。

  ◆田舎侍「おらのような田舎モンが出過ぎたことかも知れねえけんど、
            あのつぶてをやめさせるのはわけもねえことですだ。
            みなさま狸を何匹か捕まえて、酒を用意してくだせえ」

  当時の都人は、田舎育ちの者を馬鹿にしながらも、
  田舎者にはある種の異能があることを認め、恐れを抱いていました。
  この度の一件も、田舎侍の救いの一言に全員一致で従うことになったのです。

  数日後、皆が買ってきたり、捕らえさせたりした狸を、
  田舎侍が見事な手さばきで調理して「たぬき鍋」の宴が開かれました。
  飲めや歌えやの大宴会で、皆大いに酒を食らい、狸の肉を食らいました。

  田舎侍本人はというと、これも特に怨霊退散のまじないをするわけでも、
  怪異逃散の儀式をするわけでもありません。
  ただ、皆が食べ終えた狸の骨を屋敷の周囲にまき散らしただけでした。

  翌日──。
  田舎侍の言った通り、パタリとつぶての音がしなくなりました。
  周囲の者みな不思議がってわけを尋ねると、侍はこう答えました。

  ◆田舎侍「おらの生まれた村では、狸が畑を荒らすときは
            狸の骨を畑にまいておくと防げるって言い伝えがありますで」

  一同このときはじめて、つぶてが狸のしわざだったと知ったのでした。
  狸の起こした怪異。それを防いだ田舎侍の異能。
  一同ただただ驚くばかりでした。

  そしてこの説話を含む『古今著聞集』が成った鎌倉時代より下ること750年。
  平成の世になった今でも信州のある奥深い村では、狸の被害を防ぐために
  狸の死体を置いておくとよい、という言い伝えが残っているそうです。

                                    脚色  江幡店長  出典『古今著聞集』

 

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