京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】今昔物語集 宇治拾遺物語 古今著聞集 古本説話集 〜平安の物語〜

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 【平安の物語】やもめの娘が心配!!老いた両親の複雑な心境。

  むかしある田舎に、老夫婦が娘のゆくすえを案じて嘆き暮らしていました。
  一人娘にせっかく適当な夫を探してめあわせたというのに、
  その夫が不意の病のために亡くなってしまったのです。

  それならば、と老いた両親は、
  可愛い娘のため新しい夫を探してやろうとしましたが、
  困ったことに、肝心の娘にはまったく再婚の意志が無いのです。

  ◆娘「私は二度と嫁ぎません。男と添い遂げることができない運命なのです。
        夫が死んだのもこの運命に逆らったからでしょう。
        たとえ新しい夫を迎えても、また同じように死ぬだけ──」

  ◇父「ば…馬鹿なことを申すでない!!
        わしらはもう老い先短い命じゃ。
        わしらが死んだらお前はどうして独り身で生きてゆこうというのじゃ」

  目の中に入れても痛くないひとり娘の将来を思うあまり、
  父はそう声を荒げて強引に再婚話をすすめようとしました。
  娘はにわかに真剣な顔つきになり、憤然としてこう言い放ちました。

  ◆娘「禽獣ですら、一度夫を失えば他の夫を迎えることはないのですよ!!」

  娘はひさしに巣をつくって住んでいた、つがいのツバメのオスを殺し、
  メスの足に赤い糸を巻き付けて放ちました。メスが別のオスを連れ
  帰らなければ、禽獣にすら貞節がある証明になると言いたいのでしょう。

  次の春、足に赤い糸を巻き付けたメスは、たった一羽で巣に帰ってきました。
  そして新しいオスを迎えることもなく、ふたたび飛び去ってゆきました。
  その姿を見て娘は、両親に向かってこんな一首を詠みました。

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  [ 歌 ] かぞいろはあはれと見らむ燕そらふたりは人にちぎらぬものを

  [意味] 両親はさぞ哀れな娘と思って私を見ているのでしょう。
         けれど、燕ですら夫を亡くせば新しいオスとは契らないのに、
         人間である私が再婚などできようはずもありません。
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  両親はそれからもう、再婚の話をしようとはしませんでした。

  燕の貞節に哀れと同情を感じたからではありません。
  運命だ、貞節だ、とあれこれかこつけては必死で再婚を拒む娘の胸中深くに、
  死んだ夫への揺るぎない愛を見たのです。

                                    脚色  江幡店長  出典『今昔物語集』

 

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