京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】今昔物語集 宇治拾遺物語 古今著聞集 古本説話集 〜平安の物語〜

京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】『平安の物語』バックナンバー一覧へ

 【平安の物語】夫を追ってどこまでも!身重の妻の決死紀行。

  藤原定家が「小倉百人一首」を編んだ鎌倉時代はじめの頃のこと。
  ある男が重い罪を犯し、罰せられて、
  身重の妻を残して遠い国へ流されてしまいました。

  妻は夫恋しさのあまり、何度も後を追ってゆこうとしましたが、
  そのたびに両親に止められ、ともかくも無事に子供を産んでからと、
  自分に言い聞かせては泣き暮らす毎日を送っていました。

  しかし、夫を恋しく思う気持ちは次第に抑えがたいものになりました。
  ある日妻はたった一人家を抜け出すと、身重の体をひきずりながら、
  数十日後ついに夫の流された国へたどりついたのでした。

  そこで妻はにわかに産気づきました。
  仕方なく異国の山中で子を産み落とし、
  その場にわが子を捨て、人の住む里へ下りました。

  ◆ 妻 「水を、水をいただけませんか?体を清めたいのです」

  ◇老人「木ぎれを集め終えるまでお待ちくだされ。
          流刑人とは言え、葬る者も無いのではあまりに哀れでの」

  ◆ 妻 「る、流刑人??」

  ◇老人「この男のことじゃ。可愛そうに……。
          京に住む人をずっと恋い偲んで病にかかり、今朝死んだのじゃ」

  老人の指さした先を見ると、
  まぎれもない夫が、変わり果てた姿になって横たわっていたのでした。
  妻はわっと泣き出して──。

  ◆ 妻 「あなた、今参りました。
          遅くなってごめんなさい。今参りましたよ……」

  やがて集めた木ぎれを夫のなきがらにかぶせ、
  老人は三たび念仏を唱えてから火をつけました。
  燃え上がる炎。朦々と立ちのぼる黒煙。

  ◇老人「さて、水を差し上げようかの──」

  老人がそう言いかけたとき、女の姿はありませんでした。
  周りを見渡しても、歩き去ったけはいすらありません。
  たださきほどよりも、炎がいっそう激しく燃えさかっているばかりでした。

  老人は山の方を振り返りました。
  ほどなく赤子の細い泣き声が聞こえてきたのです。


                                        脚色  江幡店長  出典『今物語』

 

京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】『平安の物語』バックナンバー一覧へ


せんべい,煎餅,おかき,あられ,おせんべい【長岡京小倉山荘】
京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】TOPへ