京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】今昔物語集 宇治拾遺物語 古今著聞集 古本説話集 〜平安の物語〜

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 【平安の物語】源氏?平氏?平安京の大盗を怖じさせた武者とは。

  平安中期、都を騒がせた盗人集団の首領「袴垂(はかまだれ)」は、
  数々の書物にその名を残す実在の大盗でした。
  剛胆にして思慮深く、なにより相当に腕が立つ。

  その袴垂が今宵獲物と定めたのは、
  上等な絹の衣をまとった、しなやかな体つきの貴人。
  夜更けの都大路を、ゆるりゆるり笛を吹きながら一人であるいてゆく。

  「わしに盗ってくれと言わぬばかりの獲物が歩いているわい。
    ひとつあの高価そうな衣をいただいてやろうか」

  袴垂はうち伏せて衣を奪おうと、その人めがけて走りかかりました。
  ところが、何も知らぬ様子で笛を吹き続けている貴人の後ろ姿を見るうち、
  どういうわけか急に恐ろしくなり、襲うのを思いとどまりました。

  袴垂はしばらく貴人のあとをつけてゆき、
  今度はわざと荒々しい足音をたてて近づきましたが、
  笛を吹きながらのんびり振り向いた貴人の顔を見て再び逃げ去りました。

  「このような夜更けに怪しい者が近づいても全く動じぬ。
    あの貴人は相当に肝の座ったお人じゃ。
    だがこの『袴垂』も名の知れた大盗。引き下がるわけにはまいらん!!」

  袴垂はついに刀を抜いて迫りました。
  すると貴人は笛を休めてゆっくりと振り向き、
  「何者じゃ?」と穏やかな声で尋ねました。

  もともと腕の立つ袴垂。
  貴人のひと声で、瞬時に自分より遙かに腕の勝る人だと悟りましたが、
  時すでに遅し。気づいたときにはもう、膝が勝手に地面に着いていました。

  ◆袴垂「私めは追いはぎでございます。世に『袴垂』と申します」

  ◇貴人「近ごろそういう名の者が都を騒がせているそうな。
          なるほどおまえがかの大盗『袴垂』であったか。
          衣などくれてやるゆえ、見ず知らずの者を襲ったりいたすなよ」

  貴人が涼しい顔で言ったので、袴垂はかえって肝を冷やし、
  ほうほうの体で逃げ帰りました。翌日、その貴人が音に聞こえた武者・
  藤原保昌(やすまさ)と知ってさらに冷や汗を流したのでした。

  のちに強盗の罪で捕らえられた際、獄中で腹を斬り、
  腸をつかみ出して死んだとされる大盗賊・袴垂。

  盗人風情でありながら、自害して果てるという剛胆な男をして
  「捕まることなど怖くはない。あの方の恐ろしさに比べれば」と言わしめた
  藤原保昌は、源平両氏にも劣らない平安時代きってのもののふでした。


                                    脚色  江幡店長  出典『今昔物語集』

 

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