京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】今昔物語集 宇治拾遺物語 古今著聞集 古本説話集 〜平安の物語〜

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 【平安の物語】中将と姫君一夜の別れ。永遠のなごり。

  中将の君が毎年盛大な法要を催しているのは周知の事実でしたが、
  いったい誰を弔っているのか、知る者はほとんどいませんでした。


  事の発端は清水寺参拝の節。
  参道で美麗な姫君を見かけた中将は、たちまち恋におちいり、
  わずかな従者を連れて姫君の屋敷へ忍んでいきました。

  「見初め合う」とはこの時の二人を言うのでしょう。
  中将を迎えた姫君のほうも、その凛々しい姿に見惚れ、
  二人は一瞬にして相思相愛の仲になりました。

  ところが夜が更けようとするころ、姫君は急に暗い顔つきになりました。

  ◆姫君「実は……、私は盗賊の手先なのです……。
          私が連れ込んだ男を、寝入った頃に賊の一人が天井から槍を
          刺しおろし、男を殺して身ぐるみを奪う手はずなのです」

  ◇中将「そ、そなたが賊の手先!?」

  ◆姫君「今まで2人の男を同じ手口で殺めてきました。
          従わなければ、私が殺されていたでしょう。
          でも、貴方だけは、貴方だけには、死んでほしくない!!」

  中将は驚愕しましたが、ともかく今すぐ二人で逃げよう、と囁きました。
  しかし姫君は、槍を刺しおろして手応えがなければ賊にすぐに気づかれ、
  追手を差し向けられて二人とも殺されてしまうに違いない、と言います。

  ◆姫君「私が代わりに刺されましょう……。
          その間に、どうか貴方だけはお逃げください!」

  ◇中将「できぬ!!そなたを残してなど――」

  ◆姫君「賊に利用されるだけのいたずらなわが身をずっと嘆いて参りました。
          でも、私は今日、やっと貴方という人に出逢えた。
          貴方を救う為に生きた生涯だったと思えば、いっそ幸せなのです」

  目にいっぱいの涙を溜めた姫君は、そう言ってほのかに笑いました。
  やがて涙が頬を伝って落ちてゆこうとするとき、
  最後にすり切れるような声でこう言い添えました。

  ◆姫君「ただ、たった一夜でもう貴方に会えなくなる。それが悲しい……」


  それから二十数年。中将の頭には白いものが目立ち始めました。
  中将の君が毎年盛大な法要を催しているのは周知の事実でしたが、
  いったい誰を弔っているのか、知る者はほとんどいませんでした。


                                    脚色  江幡店長  出典『今昔物語集』

 

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