京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】今昔物語集 宇治拾遺物語 古今著聞集 古本説話集 〜平安の物語〜

京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】『平安の物語』バックナンバー一覧へ

 【平安の物語】父に内緒の恋。偽りの歌に託した恋。

  娘に厳しい父親がいる家庭では、母親がこっそり娘の恋の手助けを
  したりするのは現代でもよくあること。
  今日は厳しいお父さんにはちょっと耳を塞ぎたくなる話かも──?


  むかし「一条摂政」と呼ばれた藤原伊尹(これまさ)は、
  家がらが立派で学識にも優れていた上に、美しい貴公子で、
  世の女性と次々に浮き名を流すプレイボーイでした。

  あまりに「色好み(=遊び人)」として名が知れ渡ってしまったため、
  ある時から偽名を使って女性のもとを渡り歩くようになりましたが、
  その偽名すらも有名になってしまうほどの遊び人でした。

  伊尹はあるとき、高貴な姫君のもとに通い始めました。
  いくら恋の手練れとはいえ、深窓の姫君に近づくのには苦労しましたが、
  持ち前の話術で姫の母を味方につけ、首尾よく恋を実らせたのです。

  連日怪しい男が出入りしているという噂を聞きつけ、
  激怒したのはこの家の厳しい父親でした。
  手引きをしたとされる妻を呼び出し、何度も何度も怒鳴りつけました。

  ◇母君「ああ……、夫が気づいてしまったようです。
          娘にまだ逢ったことがないと、手紙を書いて寄越してください」

  ◆伊尹「わかりました。うまく凌いでみせましょう」

  姫君の母に依頼を受け、伊尹はそう答えると、父親が警戒している
  ことを承知の上で、あえて姫君に恋文を届けました。
  それを横取りした父が中を開いてみると──。

  *────────────────────────────*
  【歌】人知れず身は急げども年を経てなど越えがたき逢坂の関

  【意】密かに逢いたいと私は急いでいるのに、何年経っても
        男女が逢うという逢坂の関を越えられないものか……。
  *────────────────────────────*

   と、実らぬ恋に恨み言を寄せた一首が書かれていました。
   父はそれを見てすっかり信用し、安心しきって、
   二度とこの男を近づけまいと娘のふりをして返歌をしたためました。

  *────────────────────────────*
  【歌】東路にゆきかふ人にあらぬ身はいつかは越えん逢坂の関

  【意】東国へ行き来する身ではない私は、逢坂の関を越えて
        貴方に逢うことはありません。早くお諦めください……。
  *────────────────────────────*

  伊尹は返歌を受け取ると、一度「くすっ」と笑いました。
  けれども姫君の父がすこし哀れに思えたのでしょうか、
  その日は姫君に会わないまま、闇の都大路へ消えてゆきました。

  もちろん伊尹は、別の姫君のもとへ向かったのでしょう。


                                  脚色  江幡店長  出典『宇治拾遺物語』

 

京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】『平安の物語』バックナンバー一覧へ


せんべい,煎餅,おかき,あられ,おせんべい【長岡京小倉山荘】
京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】TOPへ