京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】今昔物語集 宇治拾遺物語 古今著聞集 古本説話集 〜平安の物語〜

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 【平安の物語】愛を教えてくれた人へ。教典を教えた聖からの「お返し」

  むかし進命婦(しんのみょうぶ)という美しく高貴な女性が、
  法華経の教えを請うため、
  清水寺のとある高僧のもとにたびたび通っていました。

  その高僧は八十歳の老齢で、飲酒や食肉はもちろん、
  女性を近づけることもなく一生を過ごしてきた潔癖な人のため、
  人々から「聖(ひじり)」と呼ばれ尊ばれていました。

  ところが美しく清らかな進命婦を見ているうち、
  聖は八十歳にして初めての恋におちいり、
  恋の病のために明日をも知れぬ命となってしまいました。

  ○弟子「これほどの重い病をほうってはおけませぬ。
          お師匠様、何をそのように思いつめていらっしゃるのですか?」

  ◇聖  「実を申せば、進命婦という女性に浅からぬ想いを抱き、
          以来三年もの間、食べ物がほとんど喉を通らなかったのじゃ。
          今やこのような情けない有様よ……」

  弟子はこれを聞き、進命婦のもとへ行って事情を話しました。
  進命婦は驚いてすぐさま清水寺に詣で、
  髪もひげも剃らず鬼のような形相になった聖と対面しました。

  ◆命婦「長年ご信頼申し上げてきた気持ちは決して浅くはございません。
          このように弱ってしまわれる前に
          どうしてひと言、仰ってくださらなかったのですか?」

  心から信頼している聖の変わり果てた姿を前に、
  命婦は涙ながらにこう言いました。

  ◇聖  「ああ、ああ、嬉しや。貴女がおいでくださるとは。
          愚僧はこのように病んで苦しみはしたものの
          貴女のおかげで八十年の生涯の最後を花と飾ることができました。

          貴女が将来、男をお産みなさるなら、摂政・関白をお産みなさい。
          女ならば天皇の后を。僧ならば大きな寺の大僧正をお産みなさい」

  聖はそう暗示めいた言葉を残し、最愛の人に見守られつつ生涯を終えました。
  やがて進命婦は「宇治関白」と呼ばれた天下の実力者、
  藤原頼通(よりみち=道長の子)の寵愛を受けるようになりました。

  そして聖の残した言葉通り、のちに摂政・関白となる師実(もろざね)を産み、
  後冷泉天皇の后となる四条宮を産み、
  比叡山延暦寺を統括する「天台座主」となる大僧正・覚円を産んだのです。


                                  脚色  江幡店長  出典『宇治拾遺物語』

 

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