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 【平安の物語】男の涙!!貧しいあるじに仕えつづけた従者の思いとは?

  時は後白河院の治世。
  のちに出世して左近将監まで進むことになる秦兼任(はたのかねとう)
  という男が、まだひどく貧しかったころのことです。

  兼任には貧しいながらたった一人、
  長年仕えてくれている従者がいました。

  ふてくされたような振る舞いをしたり、反抗したり、
  命令に従わないことなどしばしば。決して使いやすい従者では
  ありませんでしたが、それでもれっきとした主従の関係でした。

  ある年兼任は、「召次の長」というそこそこの職に任命されました。
  貧しい暮らしを強いられてきた一門の者はみな彼の出世を喜び、
  明るいゆくすえを期待して、彼の家に祝いに集まってきました。

  その宴の席で、あるじ兼任が従者を呼びよせるひと声――。
  一門の者はみな、貧しいあるじに長年仕えてきた従者が
  どのような素晴らしい褒美にあずかるのか、注目してしんと押し黙りました。

  ところが。
  大力の兼任は、突如従者を組み伏せ、こう怒鳴りつけたのです。

  「キサマはこれまで、あるじであるこのわしに数々の無礼を働いてきた。
    従者がいなくなっては不便になるから今日まで我慢して使ってきたのだ!!
    しかし、出世が決まった今日という今日は許さん!
    日ごろのうっぷんを晴らしてくれようぞ!!」

  と、従者の後ろ髪をバッサリ斬りおとしたのでした(最大の恥辱とされる)。

  しかし兼任のたくましい腕はすぐに力を失いました。
  いつも不敵な面構えで、あるじをあるじとも思わず睨みつけてくる
  従者の目に大粒の涙が――。

  それはこの度の仕打ちを恐れる涙ではなく、
  明らかに男のうれし泣きの涙だったのです。

  兼任はふとわが身をふり返りました。
  身分が低く、貧しいゆえに味わわねばならなかったさまざまな屈辱。
  家柄が良いだけで出世してゆく学友たちが自分に向けた、あの憐れみの目。

  しかし、そんなうだつのあがらない、将来の約束もないあるじに
  何年も何年も仕えつづけてきた従者の不安とは?苦労とは?屈辱とは?

  「いかばかりであったろう……」

  兼任は、誰より自分の出世を望んでいたのが、
  そして誰よりこの出世を喜んでくれているのが、
  まさしくこの従者に他ならないことを知ったのでした。

  翌日、従者は晴れて兼任の片腕の職を与えられたのです。

                                    脚色  江幡店長  出典『古今著聞集』

 

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