京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】今昔物語集 宇治拾遺物語 古今著聞集 古本説話集 〜平安の物語〜

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 【平安の物語】どっちを助ける?溺れるわが子と溺れるわが母と

  むかしむかし。
  暴風雨の影響で淀川の水域が大幅に増え、大氾濫を起こした年の話です。
  川そばに小さな住まいを構える法師の一家がありました。

  老いた母。法師。妻。そして色白で端正な顔立ちの一人息子。
  「目に入れても痛くない」とはまさにこの息子のことで、
  父である法師は片時もそばから離さない溺愛ぶりでした。

  淀川の氾濫により、法師の家は一瞬にして流されてしまいました。
  たまたま下流にいた法師は無事でしたが、
  荒れ狂う川面から突如悲鳴が聞こえてきました。

  驚いて見れば、なんと愛するわが子が激流に流されてしまったのです。

  「危ない!!」
  法師はすぐさま川へ躍り込み、間一髪でわが子を掴まえました。
  ところが岸へ戻ろうとしたとき、今度は上流から老いた母の悲鳴が――。

  法師は一瞬、躊躇しました。二人を助けたい。だが、そんな余裕は無い。
  しかし、法師の迷いは一瞬でした。彼は一度助けた息子を手放し、
  老いた母めがけて水をかき分けていったのです。

  母をかかえ、岸へあがると、
  鬼のような形相をした妻の顔が待っていました。

  ◇妻「お前はなんだって今日か明日に死んでしまう
        あんな老いぼれを助けたりしたんだい!!
        あんなに可愛いわが子を死なせるなんて!!」

  ◆夫「もっともだ。だが、たとえ明日死ぬとわかっていたとして、
        どうして老いた母を見捨てることができよう。
        われら二人がいれば、子はまたいつでももうけることができる」

  法師は静かにそう答えました。
  もちろん、妻がそんな言い分に納得できるはずはありません。
  なんと言っても妻にとっては、お腹を痛めて産んだわが子なのです。

  しかし、一方的に法師を責めることもできないでしょう。
  自分の身さえ危うい中で、溺愛するわが子を棄て、母を救わなければ
  ならなかった法師の苦しみは到底他人が推し量ることのできないものです。

  ただ、結果的に法師の選択は誤っていなかったと言えるかも知れません。
  激流に流されていった息子は、下流の住人にあっさりと救いあげられ、
  事なきを得たのです。

                                    脚色  江幡店長  出典『今昔物語集』

 

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