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 【平安の物語】平安のプレイボーイ☆月夜に散る恋すすき

    平  貞文  (たいらのさだぶみ)
    人呼んで 「平中(へいちゅう)」

  平安時代随一のプレイボーイ・在原業平に匹敵する美貌の主として
  知られる彼は、ある月の美しい夜、結婚してすぐに通わなくなって
  しまったとある女性を不憫に思い、久しぶりに女性のもとを訪れました。

  「私にもう棄てられたと思って、きっと嘆いていることだろう。
    久しぶりに逢いにいったら、きっと涙を流して喜ぶに違いない」

  平中などとあだ名されても、もともと大人しく純情なお坊っちゃま。
  あちこちの女性のもとを巡り歩いている現実はよそにして、
  秋の夜長には時にこんな感傷的な気持ちにもなるのでした。

  平中が妻の家の庭に踏み入ると、見覚えのある侍女と目が合いました。
  ところが、侍女はまったく素知らぬふりで、
  庭のすすきがこんもり生えている場所と屋敷とを頻繁に行き来しています。

  平中は不思議に思い、すすきの中を覗き込みました。するとそこには、
  法師がひとり座っていました。なんと数日前に平中の妻となった女性は、
  早くもこの法師と恋文のやりとりをしていたのです。

  いや、文のやりとりの頻繁さを見ると、平中と恋仲になるずっと以前から、
  女はこの法師と恋仲だったものと想像されました。
  それでも妻は悪びれもなく「屋敷のほうへどうぞ」と使いを寄越してきました。

  平中は不愉快になり、返事を書くかわりに、
  こんな訣別の一首を詠んで贈り届けました。

  *─────――─────────────────────────*
  【歌】ほにいでゝも風にさはぐか花すゝき いづれのかたに靡きはてんと

  【意】花すすきの君よ。浮気なこころを隠そうともしないままで
        風がふくたび――男が誘うたび――にあなたは
        あちらの風に靡こうか、こちらの風に靡こうかと
        顔をふり向けるのですか?
  *───────――───────────────────────*

  都に住む女性の誰もが憧れるモテモテの貴公子。
  みずからもそれを自負している平中。

  そんな浮気な男を手玉に取った妻は、
  平中に泣かされた多くの女性たちの復讐を
  少しだけ肩代わりしたのかもしれません。

  平中にとってこの夜の月の冴えた美しさは、
  ほろ苦い失恋の思い出とともに、忘れられない光景になったことでしょう。


                                      脚色  江幡店長  出典『平仲物語』

 

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