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 【平安の物語】老いた父に酒を!孝行息子の養老の滝伝説

  元正天皇の御代といいますから、奈良に都があった頃の遠い昔のお話です。

  美濃の国に一人の貧しい男がいました。
  年老いた父と二人暮らしでしたが、男は父を敬うこころ篤く、
  毎日薪を集め、それを売ったわずかなお金で父を養っていました。

  父は酒好きで、朝から晩まで呑みたい呑みたいと言うので、
  男は時々なけなしのお金をはたいて酒を求めましたが、
  父が満足するほどの酒を手に入れたことはかつて一度もありませんでした。

  「あぁ、父さんはあれほど酒を呑みたいと言っているのに、
    願いを叶えてやれない俺はなんと不甲斐ない息子だろう。
    一度でいいから父さんに思う存分酒を呑ませてやりたい!!」

  これがこの貧しい男の、たったひとつの切な、尊い夢なのでした。

  ある日、いつものように薪を取りに山へ入ったとき、
  男は不意に苔石に足をすべらせ山道でころんでしまいました。
  「いたたた……」と尻をさすりながら顔をあげると──。

  なにやらぷ〜んと甘い香りがします。
  目の前の岩と岩の間から流れ出ている水が
  不思議な芳香を放っているのでした。

  「水にしてはずいぶん白く濁っているな……」

  不審に思ってなめてみると、明らかに酒の味がします。
  それもただの酒ではありません。
  かつて飲んだことのないほど霊妙な味わいの美酒でした。

  「こ、これをもって帰ったら、父さんはどんなに喜ぶだろう!!」

  男がまっさきに思ったのはそこのとでした。
  さっそく何度も往復して大量の名水を家まで運ぶと、案の定──。
  「もう呑めん!!」と、男は父の口から初めてその言葉を聞いたのでした。

  この一件はすぐに時の元正天皇の耳に届きました。

  「男が日頃から父を大切にしてきた孝養ぶりに神様が感じ入って、
    この上ない美酒を下賜して下さったに違いありません。
    その湧水を『養老の滝』と名づけ、男の孝心を後の世まで讃えましょう」

  天皇はこのとき、元号を『養老』と変えるほどに感動されたのでした。

  やがて一介の貧しい男は美濃の守に任じられ、家もゆたかになりました。
  ところがどんなに財力を得ても、以前の通りつつましい生活ぶりでした。
  彼は手に入れた財力を父のために遣うほかに、使い道を知らなかったのです。


                                    脚色  江幡店長  出典『古今著聞集』

 

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