京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】今昔物語集 宇治拾遺物語 古今著聞集 古本説話集 〜平安の物語〜

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 【平安の物語】月に宿った永遠の命──美しくも悲しいウサギの精神

  むかしむかし、遠い天竺(インド)に、
  ウサギと狐と猿の三匹の獣がいました。
  三匹はいつもお互いを敬い、何をするにも譲り合って暮らしていました。

  彼らがこのように立派な生活をしていたのには理由がありました。
  前世では人間だったのに、生き物を大切にしなかったために
  獣の姿になって生まれかわったことを知っていたのです。

  「われわれが獣の姿に生まれ変わったのは、前世の行いが悪かったからだ。
    このたびは自分のことは捨てて他人のために善い行いを心がけ、
    来世でふたたび人間に生まれ変わろうぞ!」

  それが三匹の固い固い誓いでした。
  そんなある日、やせ衰えた老人が三匹の前にあらわれ、こう言いました。

  ◇老人「わしはこのように衰えてしまって、食べ物も手に入らぬ始末じゃ。
          そなた達は哀れみ深いと聞いたが、どうかわしを養ってくれぬか?」

  これを聞いた三匹の獣は、「今こそ善行をする時だ!」と喜び、
  すすんで老人を養うようになりました。

  木登り上手の猿はいろいろな果樹にのぼり、毎日たくさんの果実を取って
  老人に与えました。知恵のある狐は、人間が供えた餅や魚などを持ち帰り、
  好きなだけ老人の前に差し出しました。

  ところがウサギだけは、野や山に行くと恐ろしさで腰がひけてしまい、
  全く食べ物を捜してくることができません。老人の役に立ちたいという
  一心で探しまわるのですが、いつも帰りは手ぶらでした。

  ◆ウサギ「今度こそ何があっても必ず美味しいものを捜してきます!
            猿さん狐さん、枯れ木をあつめて火をたいて待っていてください」

  ウサギはある日、なにかを決意した顔つきでそう言って
  出てゆきましたが、やはり何も穫れずに手ぶらで帰ってきました。
  火をたいて待っていた狐と猿は怒りました。

  ○狐「やっぱり嘘だったのだな!枯れ木拾いなどさせやがって」

  ○猿「お前はこの火で暖まろうとして俺たちを使ったんだろう!!」

  ◆兎「いいえいいえ、そうではありません。
        私にははじめから、食べものを捜してくる甲斐性がないのです。
        ですからご老体――」

  ウサギはそう言って老人のほうを振り向くと
  「どうか私の体を焼いて食べてください!!」
  と、みずから火の中へ飛び込み、焼け死んでしまったのでした。

  これを見た老人はにわかに凛々しい姿に変身しました。
  老人の本当の姿は、帝釈天(たいしゃくてん)だったのです。

  帝釈天は、他人のために犠牲になったウサギの利他の精神に感じ入り、
  ウサギが火の中に飛び込もうとしたその姿を月の中に永遠に残したのでした。

  帝釈天にはこんな思いがあったのでしょう。
  後世、人を含むすべての生きものが、
  月をながめるたびにこのウサギのことを思い出すように……。

  そして他人のために自分を犠牲にしたウサギの尊い精神をふりかえり、
  世の中からきっと争いごとがなくなるように……。


                                    脚色  江幡店長  出典『今昔物語集』

 

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