京都せんべいおかき専門店【長岡京小倉山荘】今昔物語集 宇治拾遺物語 古今著聞集 古本説話集 〜平安の物語〜

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 【平安の物語】父を忘れたくない!!遺された兄弟それぞれの孝行。

  今は昔、いつもお墓にすがりついて泣いている幼い兄弟がいました。
  ただ一人の肉親だった父が亡くなってからというもの、
  父を恋しく思うたびに墓を訪れて泣く日々を送っていました。

  月日が経ち、ふたりがやがて成人になろうとするころのことです。

  ◆兄「いつまでも父さんのことばかり思って泣いていてはいけない!!」

  兄はそう思い立ち、見れば思いを忘れると言われる
  『萱草(わすれぐさ)』を父の墓のそばに植えました。

  するとにわかに効果があらわれ、兄はすっかり父を忘れたようになりました。
  やがて兄は公の仕事(地方公務員)につき、
  弟が誘ってももう墓に行こうとはしなくなりました。

  ◇弟「兄はひどい人じゃ!俺はいつまでも父さんを忘れたりしない!!」

  兄に失望した弟は、見れば思いを忘れられなくなると言われる
  『紫苑(しおん)』を墓のそばに植えました。
  するとたちまち効果があらわれ、弟はますます悲しみを募らせてゆきました。


  さてこの対照的な兄弟の物語を、物語作者は次のように結んでいます。

  弟の前にある日、父の墓を守っている鬼があらわれました。
  鬼は『萱草』を植えた兄と『紫苑』を植えた弟の孝心を比べ、
  いつまでも父を忘れようとしない弟を哀れに思い、予知能力を授けました。

  めでたしめでたし……。


  ――しかし、兄は薄情で弟は孝行息子だとは単純に言い切れない気がします。

  父が亡くなってから、ふたりは親類に預けられたりして、
  肩身の狭い思いをいくつも経験したことでしょう。

  いずれは人の世話にならないようにしなければならない!
  そのためには、いつまでも悲しみに暮れているわけにはいかない!
  兄である自分がしっかりしなければ!と、兄はそう考えたかも知れません。

  父との思い出の数は、年長である兄のほうが多かったに違いありません。

  しかし、自分の将来を思い、悲しみに沈んだままの弟の将来を思うがために、
  恋しくて恋しくてたまらない父との訣別を決意し、
  『萱草』を植えなければならなかった兄の切なさは――。

  それこそがこの物語の命と私は考えます。

                                    脚色  江幡店長  出典『今昔物語集』

 

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