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 【平安の物語】名武将の父子に絆を見た!!熱き以心伝心物語

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       │ ■ 〜まえがき〜 父の日直前!!熱い父と子のストーリー │
       │ ■ 一頭の良馬をめぐる物語                          │
       │ ■ 息子も喉から手が出るほど欲しい馬                │
       │ ■ 雨夜に動き出す怪しき影                          │
       │ ■ 強靱な父と子の絆、盗人の邪望を砕く!!            │
       └──────────────────────────┘
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■ 〜まえがき〜 父の日直前!!熱い父と子のストーリー
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    もうすぐ父の日ということで、今回は父子の強い情愛を示す物語をご
    紹介しよう!――と、あれこれ探しているうちに、「今昔物語集」の
    中の私の好きな一編に思い当たりました。

    「情愛」とはすこし違う。「縁」ともすこし異なる。
    今回のお話は、むしろ父子の絆の強さ、たくましさを描いた、平安時
    代中期の武士の父子の爽快な一編です。

    骨肉の争い。力ずくの下剋上の世。
    ともすれば父親を殺め、我が子を殺め、友人を裏切ることをも正当化
    されてしまいそうな戦国時代──その印象が強いため、武士の世界に
    はどうしても「弱肉強食」のイメージがつきまといます。

    しかし、それよりはるか 500年以上の昔――「我こそは源の九郎義経
    なり!!」とおのおの名乗りをあげて敵勢へ突っ込んだ潔い源平の合戦
    よりもまだ 100年以上もむかし。

    ――藤原氏が栄華を誇っていた平安時代に、日本にはこんな「ものの
    ふ」の父子が存在したんです……(物語のはじまりはじまり〜♪)。

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■ 一頭の良馬をめぐる物語
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    物語は武勇にすぐれ、才知に富む【源頼信(みなもとのよりのぶ)】と
    いう武将が、坂東から一頭の良馬を都へ連れ帰ったことから始まりま
    す。

    この馬、頼信ほど名高い武将がわざわざ連れて帰るほどですから、本
    当にものすごい馬でした。一日に千里を走る健脚と韋駄天のような速
    脚。鮮やかなつやと美しい毛なみ――。
    腕に覚えの無い者ですらひと目でウットリ見惚れてしまうほど、それ
    はそれは蠱惑的な馬なのでした。

    頼信が都へ連れのぼる途中、案の定、この馬を狙ってあとをつけてく
    る一人の馬盗人がいました。

    馬盗人は隙さえあればいつでも馬を盗んでやる!!という意気込みでし
    たが、さすが名将・源頼信。その隊列は乱れを知らず、整然と隊伍を
    組んで前進してゆきます。馬盗人は手を出せぬまま、あとをつけてと
    うとう都まで追いつづけたのでした。

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■ 息子も喉から手が出るほど欲しい馬
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    源頼信の長子【頼義(よりよし)】は、これまた父に負けず劣らずの武
    勇の士で、才気に満ちた若武者でした。ある人から父が連れ帰った良
    馬のことを聞かされるといてもたってもいられなくなり、なんとか譲
    り受けたいと思い、激しくふりしきる夜の雨の中を父の屋敷へ走った
    のでした。

    父はそんな息子の思いをハナから承知でした。頼義が突然来訪し、ま
    だなにも言い出さないうちから、
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    ◆ 頼  信 「この暗さでは馬の善し悪しはわかるまい。明日の朝見て
                気に入れば連れて行け」
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    と、言葉は少ないながらも見事に息子の意中を射抜いたのでした。頼
    義は馬を譲り受ける約束をもらい、嬉しさのあまりこう答えました。
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    ◇ 頼  義 「有り難きしあわせ!!  それでは今宵は父上のそばで一夜
                の警護をつかまつりましょう!!」
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■ 雨夜に動き出す怪しき影
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    どしゃぶりの雨──。漆黒の闇──。
    まさに馬盗人にとっては願ってもないチャンスが訪れました。
    屋敷の灯りが落ちると、盗人は静かに厩へ向かい、いとも簡単に良馬
    を盗み出したのです。

    数分後、警備の者の「馬が盗まれたぞー!」の声に真っ先に反応した
    のは父・頼信でした。かたわらでぐっすりと眠っているであろう息子
    にはひと言も声をかけず、むっくりと起きあがって──、

    「あの良馬のことはまだ身内の者しか知らぬ。ならば都へ上る途中、
      馬をつけねらって付いてきた者のしわざであろう」

    と、共の者も引き連れず、単騎東へ向かって馬を走らせました。

    父に遅れること数分、ざわざわと騒がしい屋敷のけはいを感じ、今度
    は息子の頼義がはね起きました。馬が盗まれたらしいとわかると──、

    「あの馬のことは身内の者しか知らぬはず。さては都へ上る途中にあ
      とをつけてきた不埒な奴がおったのだな」

    と、父と全く同じ考えで、単騎東へ向かって馬を走らせました。

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■ 強靱な父と子の絆、盗人の邪望を砕く!!
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    一方馬盗人は、まんまと逃げおおせたと思って、水たまりの上をジャ
    バジャバ音をたてながら、ゆっくりと良馬を歩かせていました。
    そのはるか後方から猛烈な勢いで追ってくる父子があろうとは思いも
    せずに……。
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    ◆   父   (我が息子は必ずあとを追ってくるであろう……)
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    ◇   子   (我が父は必ずこの道を行っているであろう……)
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    強烈な雨音のために馬の足音は聞こえなくても、父子はしっかりと互
    いの息づかいを信じ合っていたのだった。やがて馬盗人のけはいを感
    じ取った父がはたと馬を止め、突如まっ暗闇の中をふり返って──、
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    ◆   父   「射よ!!馬盗人はかしこにおるぞ!!」
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    と、言いも終わらぬうちに、ブーンと鈍いうなりをあげ、父の頬をか
    すめる弓矢の気鋭──。
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    ◆   父   「馬盗人討ち取ったり。早く馬をひいてまいれ!!」
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    漆黒の闇と強雨の中、息子がそばにいるかどうかも盗人が確かに討ち
    取られたかどうかも調べずに、父・頼信はそう言ってさっさと屋敷へ
    引き上げていった。やがて子・頼義が落馬した盗人を確認し、良馬を
    率いて屋敷へ帰ると、郎党たちは馬盗人を追うためにやっと屋敷を出
    たばかりであった……。
  ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

    翌朝。
    何事もなかったかのように父は馬を連れてくるよう従者に命じました。
    子・頼義が屋敷の庭に引き出された馬を見ると、なるほどたしかに世
    にも稀な良馬です。頼義は高らかにこう言いました。

    「かほどの名馬、ありがたく頂戴つかまつる!!」

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    ──ところがこの良馬、昨夜と一つだけ異なるところがありました。
    意匠を凝らした艶やかな鞍が、馬の背にきらきらと輝いているのです。
    頼義は瞬時に昨夜の一件の褒美だろうと察しましたが、しかし――、

    「昨夜はよう盗人を仕留めた。あの鞍は褒美じゃ」

    寡黙な父は、最後まで決してそう口に出しては言いませんでした。


                               原話『今昔物語集』 脚色 江幡 (70%)

 

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